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#鼻中隔延長で豚鼻は治るの?|実はかなり難しい「鼻先を下に伸ばす」手術について

鼻中隔延長で豚鼻は治るの?|実はかなり難しい「鼻先を下に伸ばす」手術について

鼻中隔延長術は多くのクリニックで行われている鼻整形における代表的な手術です。鼻先に高さを出す・鼻先の向きを変える・鼻の穴の見え方を調整するなど多岐にわたる変化を出せることから当院においても日常的に手術を行っています。実際の施術では耳から採取した軟骨を鼻中隔に挟んで鼻先に長さを追加することで変化を出しますが、この施術が興味深いのは、【鼻先を伸ばす方向】で手術の難易度が大きく変わるという点です。ここ最近ご希望が増えている、韓国風にツンとした少し上向きの鼻先(アップノーズ)を作るのは比較的対応しやすいのですが、逆に鼻先を下向きにするという、鼻中隔延長術の代名詞ともいえる「豚鼻の改善」は、実は技術的にかなり難しい部類に入る施術です。

…というと、「でも、鼻中隔延長術による豚鼻改善治療はどこのクリニックでも行ってる、ごくごく普通のよくある治療ではないの?」と思われたかもしれません。確かにおっしゃる通り、ほとんどのクリニックで行われている鼻整形の定番ともいえる治療法です。ですが実際の現場では、多くのクリニックで行われているものの、その結果には満足していない患者様が多い、というのが現実ではないでしょうか。実際、当院では他院修正として鼻中隔延長をしたもののイメージと違ったというご相談を頂くことがかなり多いです。もちろん、一発で理想の鼻先になられた方も沢山いらっしゃるとは思いますが、数ある鼻整形術の中でも、鼻中隔延長術の修正相談はかなり多いなというのが私の感覚です。そのため今回は、鼻中隔延長術について以下のような点をまとめてみたいと思います。今回も長文になってしまいそうですが、よろしければ最後までお付き合いください。

【今回の記事でお伝えしたいこと】
  • なぜ鼻中隔延長術で豚鼻をうまく改善できないのか
  • 豚鼻改善治療は思っている以上に難易度が高い
  • 鼻中隔延長術後に起きがちなトラブルについて
  • 一度の施術でイメージ通りの鼻先にするために

オーソドックスな施術だが、実は難易度が高いのが鼻中隔延長術

オーソドックスな施術だが、実は難易度が高いのが鼻中隔延長術

私が本格的に美容外科を始めた20年以上前は、鼻先に変化を加える手術といえば鼻尖耳介軟骨移植が主流でした。鼻尖耳介軟骨移植は鼻先(鼻尖部)に軟骨を重ねて置くというシンプルな施術のため、短時間で施術が終わり、腫れや赤みなどのダウンタイムも短く済むことが多く、身体への負担が少ないという点においてはメリットが多い施術です。ただ、この施術におけるネックは「後戻り」の可能性があるという点で、施術から数年程度経過すると次第に元の鼻先に戻ってしまうというケースが稀にありました。

そういった背景もあり、現在は「鼻先に変化を出す施術」として、後戻りのリスクが少なく、よりしっかりとした変化を出すことができる鼻中隔延長を選択するクリニックが増えています。鼻尖耳介軟骨移植は鼻先に軟骨を「重ねて乗っける」施術ですが、鼻中隔延長術は、強度のある軟骨(鼻中隔軟骨)に軟骨を挟み込んで、長さを「継ぎ足す」ことで前方や下方に鼻先を伸ばします。硬い軟骨(鼻中隔軟骨)を「土台」にして長さを追加する手法のため、堅固で後戻りのリスクが少ない形で鼻先に変化を出すことができます。

鼻中隔延長術が近年選ばれる最大の理由は、この「土台(鼻中隔軟骨)の強さ」にあると言えます。鼻翼軟骨を土台にする鼻尖耳介軟骨移植よりも、もっと硬くて堅固な鼻中隔軟骨を土台にした方が移植した軟骨の支持力が高くなり、後戻りの可能性をグッと低くすることができる、という考え方です。

当院でも鼻先に変化を出す施術として鼻中隔延長術を多数行っておりますが、この施術は知名度が高く多くのクリニックで多数行われている反面、実は「施術の目的(使い方)」によっては非常に難易度が高くなり、思っていた仕上がりにならなかったというトラブルに繋がりやすい傾向にあります。言い換えると、「同じ鼻中隔延長術であっても、鼻先を伸ばす方向」によって手技の難易度が変わってくる、ということになります。

「上向き=◎」「下向き=△」延長する向きで変わる手術の難易度

「上向き=◎」「下向き=△」延長する向きで変わる手術の難易度

ではどの方向に伸ばす手技が特に難しいのか?という話になりますが、これは「上向きの鼻を下方向に伸ばす」、いわゆる豚鼻と言われるような鼻先を改善する施術で難易度が高くなる傾向にあります。豚鼻改善は、ごく一般的に行われている処置のため意外だと思われる方も多いと思いますが、この施術は「ただ鼻先を下に出せばよい」のではなく、前下方へのベクトル、鼻柱の見え方、鼻孔の露出、横顔のシルエットまでをシミュレーションした上で全体を整える必要があり、この辺りを見誤って設計すると、「思っていたよりも長くなりすぎた(延長のしすぎ)」「鼻先がピノキオのように不自然に尖ってしまった」「鼻先が不自然に垂れ下がって魔女鼻のようになった」といったトラブルに繋がることもあるため注意が必要です。

最近は韓国の美容整形の影響もあり、あえて少し上向きでツンとした鼻先(アップノーズ)を希望される方が増えていますが、上向きに調整する処置は鼻中隔延長術の中でも比較的容易なため、あくまで憶測にはなりますが、この施術で失敗される方はあまり多くはないのではないかと思います。
一方で、もともと鼻の上下長が短く、鼻先が上を向いていて、正面から鼻の穴が見えやすい状態、いわゆる「短鼻」「豚鼻」を下方向へ伸ばしていく手術は、技術的にはるかに難しくなることが多いです。
理由としては、上向き(アップノーズ)に整える場合と違って、豚鼻改善では「鼻先を前に出す+下に伸ばす」といった2方向へ対するアプローチが必要になり、しかもその変化が不自然に見えないようにコントロールする必要があるからです。
つまり、韓国風のアップノーズ形成と豚鼻改善では、同じ「鼻中隔延長術」を活用した手術であっても実際には施術の内容に大きな違いがあり、前者は比較的印象調整に近く、後者は鼻の上下長そのものを増やし、正面・側面の見え方を同時に変えるという、構造的な手術になります。この違いを知らないまま「鼻中隔延長はどこで受けても同じ」と思ってしまうと、仕上がりに大きな差が出てしまうこともあります。

そもそも「豚鼻」とはどんな状態?

そもそも「豚鼻」とはどんな状態?

このようなお話をすると、「そもそも豚鼻とはどのくらい上向きの鼻のことを言うの?」と思う方もいらっしゃるでしょう。一般的に「豚鼻」とは、正面から見た際に鼻の穴が見えやすい状態を指します。医学的に明確な定義があるわけではありませんが、鼻先が上向きになっている、鼻柱(左右の鼻の穴の間にある柱状の部分)が短い、鼻全体の上下長が短い、といった特徴を伴うことが多いです。鼻の上下長が短い状態は医学的には、「短鼻(たんび)」と呼びますが、一般的に豚鼻と呼ばれる状態は、「短鼻」を伴っているケースが多いです。
鼻先が〇㎜上を向いていれば豚鼻、のような明確な定義がない分、豚鼻かどうかの判断は個々人の価値観によるところが大きいです。人によって少しだけ上向きでも気になる方もおられますし、全く気にされない方もいらっしゃるからです。
また豚鼻といってもその原因は様々で、単純に鼻先が上を向いているため豚鼻となることもあれば、鼻の穴の「上側のカーブのフチ」が通常よりも高い位置にあるため鼻の穴が見えやすくなっているケースや、鼻柱が短いため鼻筋の上下長が短く見えるケースなどがあります。そのため豚鼻修正は、「鼻の穴が見えるので、鼻先を下げましょう!」という単純な治療ではなく、まずは一人ひとりの鼻先が上向きになってしまっている原因を精確に診断することがポイントになります。

「上向きにする」「下向きにする」の技術的な違いについて

「上向きにする」「下向きにする」の技術的な違いについて
向き・長さ・角度・バランスなど
様々な調整が必要な豚鼻修正

鼻先の印象を少し軽く整えるような忘れ鼻風・韓国風のアップノーズ形成は、変化量が比較的小さいため、鼻先の角度を微調整する手術になることが多いです。この程度の変化量であれば鼻中隔延長術ではなくダウンタイムが少ない鼻尖耳介軟骨移植が適していることも多く、軟骨の形や配置を工夫すれば数ミリ程度の向きの調整は可能ですので、劇的な変化ではなく「少しだけ鼻先を整える」レベルであれば対応できるケースもあります。
これに対して豚鼻改善では、鼻先を単純に高くするのではなく、前方+下方へ伸ばして鼻の上下長を足しつつ鼻の穴の見え方も抑え、さらに鼻先から鼻柱にかけての角度やバランスも含めた「鼻先の印象全体」を整える必要があります。アップノーズ形成が比較的シンプルな印象調整であるのに対し、豚鼻改善は、鼻先の支え、延長方向、皮膚の余裕、横顔ラインの美しさといった複数の条件を同時に成立させる必要があるため、難易度が高くなることが多いです。

豚鼻修正(下向きにする)で起こりがちなトラブル・失敗

豚鼻修正(下向きにする)で起こりがちなトラブル・失敗

そのような背景もあり、当院では豚鼻修正として鼻中隔延長術をされた方の他院修正を行うケースも多いのですが、実際にいただく相談内容として多いものには以下が挙げられます。

鼻先が下ではなく前に伸びてしまった

上向きの鼻(豚鼻)を改善したかったのに、実際には「鼻先が前方に伸びただけ」だったというケースです。鼻先が前に伸びても鼻の上下長は十分に増えませんので、鼻先の見え方にも思ったほどの変化はありません。見た目も「鼻先が斜め下方向に長くなった」というより「前方に垂直に伸びた」ような状態となり、不自然さが残ることがあります。これは、豚鼻改善に必要な下方向へのベクトル調整(移植軟骨の処置)がうまくできていないときに起こりやすいトラブルで、豚鼻改善として鼻中隔延長術を行った際に最も多いご相談事項です。

鼻先が硬くなった・動かしにくくなった

これは豚鼻治療に限らず、鼻中隔延長術全般におけるトラブルの一つですが、施術後に鼻先の動きが悪くなったり、硬さを感じやすくなることがあります。特に移植軟骨として強度が高い肋軟骨を使用すると硬くなりやすい傾向にあります。最近は肋軟骨を推奨するクリニックも増えていますが、当院では自然な動きを重視しているため、患者様からご希望がない限りは基本的に耳介軟骨を使用しています。

魔女鼻のような垂れ下がった鼻先になった

鼻先を下方向に延長しすぎたことで、魔女のような垂れ下がった鼻になってしまうことがあります。これは角度の設計ミスが主な原因ですが、鼻中隔延長を行ったことで鼻先の組織が硬くってしまい、口元を横方向に開くと鼻先がこれの動きに連動して下方向に引っ張られるようになり、笑った際にますます不自然な垂れ下がった鼻先になることもあります。

鼻スジから鼻先のラインに凹凸ができた

鼻先を下に向ける処置では、鼻先の少し上、いわゆるスープラチップ(Supratip)に膨らみが生じやすく、横から見たときに鼻スジから鼻先にかけてのラインが滑らかな一直線に仕上がらないことがあります。鼻先の向きにだけ意識を集中してしまい、鼻全体で見た際にシルエットが不自然になってしまったという状態です。このような、「鼻先を下方向に伸ばしつつ、鼻背から鼻尖までを滑らかな美しいシルエットに保つ」ことが、豚鼻を改善する手術の難しさでもあると言えます。

鼻先が曲がった

鼻中隔延長は、移植する軟骨の素材や固定する際の位置調整などによっては術後に鼻先に曲がりや左右差が出ることがあります。特に肋軟骨は、時間の経過とともに元の形に戻ろうとする内部応力が働くことで、鼻先が曲がったり反りかえるWarping現象が生じるリスクがあります。

後戻りした

鼻中隔延長術は、鼻尖耳介軟骨移植などと比較した際に後戻りしにくい点がメリットであると冒頭でお伝えしましたが、軟骨の処理方法などによっては、長期経過において後戻りしてしまうケースがあります。考えられる原因にはいくつかありますが、軟骨の延長に耐えられるだけの強度が不足していたり、移植する軟骨の素材の変形などが後戻りの一因になることがあります。

豚鼻修正(下向きにする)の手技が難しい理由

豚鼻修正(下向きにする)の手技が難しい理由

鼻中隔延長術による豚鼻改善(下向きにする)がなぜ難しいのか、改めてもう一度整理してみます。
この処置は、単純に「鼻先を下に伸ばす」というものではなく、実際は「どの方向にどれだけ延長するか」、「延長した構造をどう安定させるか」、「外側を覆う皮膚・軟部組織がその変化に耐えられるか」、さらに「自然で違和感のない仕上がりになるか」といった複数の条件を同時に成立させなければならないという特徴があります。

1. 「前に出す」ではなく「前+下方」にベクトルを作る必要がある

短鼻・豚鼻の修正では、鼻先を単純に前方へ伸ばすのではなく、前+下方へ延長して鼻の上下長を足しながら、正面から見た鼻孔の露出も抑える必要があります。つまり、「鼻先に高さを出す」手術ではなく、「鼻先のベクトルを調整する」手術と考えた方が実態に近いと言えます。
この「下方向への延伸」が不十分だと、術後の印象は「鼻先が下がった」ではなく「前に出ただけ」になりやすく、正面から見た鼻の穴の見え方も思ったほど改善しません。豚鼻改善では、前+下方へのベクトル調整をいかに精確に作るかという点が一つ目のポイントになります。

2. 軟骨の「セットの仕方」が結果を左右することも

ここも非常に重要で、単に軟骨を足せば鼻先が下を向くわけではありません。軟骨の接合位置、固定角度、支持の取り方が少し違うだけでも、鼻先が前方へ逃げたり左右どちらかに倒れたりと、術後の鼻先の印象が大きく変わります。実際に軟骨を挟み込んでみて、もし移植軟骨の鼻先側の強度に不安がある場合は、2枚の軟骨を重ねて束ね、縫合糸の本数も増やして強度を持たせるといった追加処置が必要になります。当院における術後のトラブル対策としてさらに、左右の鼻翼軟骨をやや先端方向へせり上げるように移植軟骨へ縫合し、延長した支柱が左右どちらかに倒れないよう支えるといった工夫も行っています。これらは言い換えると、豚鼻改善の鼻中隔延長では「支柱を単純に長くする」だけでなく、その支柱が術後も「前下方の位置で安定して立ち続ける」ように、周囲の軟骨構造も含めて全体のバランスも整える必要があるということです。こうした鼻先全体の構造の組み直しも含めて施術を考えることが2つ目のポイントになります。

3. 見た目を左右する スープラチップ(Supratip) の処理方法

鼻先(鼻尖)のすぐ上、鼻スジから鼻先にかけてた数ミリの領域を「スープラチップ(Supratip)」と呼びます。ごくごく狭い小さな範囲ですが、ここの処理をどうするかによって、横顔の立体感や鼻全体の「美しいカーブ」といった仕上がりに大きな影響を与えます。鼻中隔延長術で鼻先を下に向ける処理を加えると、術後に鼻先の少し上が膨らみやすい傾向があり、横から見た際に鼻スジから鼻先にかけたラインにわずかなデコボコができたりシャープさを欠いたりすることがあります。
豚鼻を改善する目的で鼻先を斜め下方向に伸ばすことは勿論ですが、患者様のほとんどが「より美しい鼻先になりたい」と考えておられますので、この鼻先のラインをいかに美しく滑らかなプロフィールにすることができるかという点は担当する医師の技術の見せどころであると言ってもよいかもしれません。ちなみに鼻先のラインについては、流行りの尖り感のあるデザインにすることも可能ですし、あえて少し丸みのあるマイルドな仕上がりにすることも可能です。

4. 素材は強ければよいわけではなく、長期の「持続性」が重要

最近は肋軟骨移植による鼻中隔延長術がSNSでは人気です。理由はその「強度」と「採取量」で、韓国風のツンとした鼻先を形成するには肋軟骨のような硬さがある軟骨のほうがラインを形成しやすいというのが肋軟骨を支持するクリニックの考え方のようです。たしかに数ある軟骨の中でも最も強度があり採取量も多いのは肋軟骨で、後戻りなどのリスクが少なくなるという大きなメリットがあります。
当院でも患者様から希望があった際には肋軟骨を使用することはありますし、施術に対する考え方は医師やクリニックによって様々ですのでどれを使用するのが正解ということはありませんが、基本的に私の場合は、耳介軟骨の中でも耳甲介軟骨よりも硬さを得やすい耳珠軟骨を好んで使用することが多いです。理由としては、肋軟骨は強度が高すぎるがゆえに元の形へ戻ろうとする力が強く、時間の経過とともに反りや曲がりが出てくるWarping現象のリスクが生じる可能性があるためです。
Warping(ワーピング)現象とは、軟骨や人工物を移植した際に時間の経過と共に本来の形に戻ろうとすることを言い、術後1~3ヵ月程度の間で特に生じやすいことが多いです。私は出来るだけ患者様のリスクや負担を最小限に抑えた形で施術を提供したいと考えるタイプのため、肋軟骨ほどではないにしても、しっかりと形状維持できる硬さを備えた耳珠軟骨を使用していますが、最近は肋軟骨を切り出す際に工夫を凝らす(肋軟骨の中心部を使用する・移植前に生理食塩水に浸して意図的に事前に曲がりを出す・棒状ではなく粉砕したものを使用するなど)ことでWarping現象をできるだけ防ごうとしているクリニックもあるようですので、もしどうしても肋軟骨を使用したい際には、こういった工夫をしているかどうかを事前に確認してみるとよいのかもしれません。

5. 最も大事な「鼻先のポテンシャル」と「施術法」の相性

使用する軟骨が肋軟骨であれ耳介軟骨であれ、この施術において最も重要であり本質的な要素として挙げられるのが、一人ひとりの「鼻先のポテンシャル」にあった施術を展開するというところにあります。
鼻先のポテンシャルとは、具体的には鼻先周囲の皮膚組織のボリューム、皮膚の柔らかさ(伸展性)、皮膚の厚みといったものを指します。つまり、例えどれだけ硬い素材を使用したとしても、どれだけベストな方向に鼻先を伸ばしたとしても、もしくはどれだけ美しく滑らかなラインに仕上げたとしても、軟骨移植をした鼻先の「外側」を覆う皮膚・軟部組織に変化を受け止められるだけのキャパがなければ、中長期的にどこかに無理が生じる結果になります。
「当院なら鼻先を●mmまで伸ばせます!」といった延長距離(長さ)を売りにしているクリニックもあるようですが、当院においては、鼻先の距離や移植軟骨の硬さよりも「皮膚の物理的限界」を精確に読み取り、長期間にわたって安定した仕上がりを維持することができるようなデザインにすることを最優先事項としています。ちなみに鼻先の延長距離については5~8㎜程度が妥当な長さで、これ以上に伸ばしてしまうと鼻先の皮膚へ過度な緊張がかかり、赤みや腫れ移植軟骨の変形、飛び出しといったリスクが高くなる傾向にあります。

6. 短鼻・豚鼻改善においてはオープン法を推奨します

クローズ法は鼻の内側(粘膜部分)を切開して行う術式で、「術後に傷跡ができない」というメリットがあるため、最近は鼻の整形においてクローズ法を希望される方が増えています。当院でも患者様のご要望にあわせて、鼻中隔延長術でもオープン法/クローズ法の2つの方法による手術を用意していますが、正直なところ豚鼻改善として鼻中隔延長術を行う際には、クローズ法ではなくオープン法による施術を必須でお選びいただきたい、というのが術者としての本音です。アップノーズ形成や鼻先に尖り感を出す目的で行う場合は、鼻先の処置もそこまで込み入ったものではないためクローズ法でもきれいな仕上がりに近づけられることが多いですが、鼻先を斜め下方向に伸ばす豚鼻修正を目的として行う場合には、できるだけオープン法による術式を推奨しております。
理由についても簡単に記載します。オープン法は鼻柱部の組織をいったん完全に解放するため、鼻先の構造を再構築するための自由度が高まる、左右対称の操作や精確な止血などの処置がしやすくなる、皮下を広めに剥離することで皮膚側の可動性を確保できる(=予想しない変形などにも対応できるだけのキャパシティを皮下に作ることができる)といった特徴があります。そのため豚鼻改善のように鼻先を前方+下方へ延長しつつ、形やラインをできるだけ安定させたいといった複数の調整を同時に行う必要がある手術においては、3つの組織を一体として再配置する必要が生じます。クローズ法にはオープン法にはないメリットがありますが、できるだけ思い描いているイメージに近い仕上がりに近づけるのであれば、十分な視野と剥離範囲を確保できるオープン法を選択することが、結果として合理的な判断になることが多いです。

オープン法・クローズ法の違い

オープン法
クローズ法

7. その場での瞬時の判断が結果を左右する

当院では手術中に、仮縫合の段階で仕上がりの状態を確認いただく「術中の仕上がり確認」を行っています。この時点で腫れはほとんどないので、ほぼ術後と変わらない状態で確認頂くことが可能です。もしこのタイミングで「もう少し鼻先を下に伸ばしたい」「もう少しだけ尖り感が欲しい」といったリクエストをいただいた際には、その場で処置を追加し、ご希望のイメージに近い仕上がりへ調整を行います。
また実際の手術では、シミュレーション通りに軟骨を移植してみたところ、想定よりも皮膚や組織に緊張が強く出てしまうといったケースもあります。このような際に当院では、一旦移植した軟骨を取り出して先端を1~2mm程度メスで切除し、改めて形やデザインを調整した上で再度挿入するという手順を踏んでいます。多少皮膚にテンションが掛かっていても、それが必ず術後のトラブルに繋がるということはないのでは?と思われるかもしれませんが、できるだけリスクを減らし、違和感のない自然な仕上がりにする目的でこのような対応を行っています。
クリニックの中には鼻先の延長距離をPR材料に使うなど、何かと「足す」ことに注目が集まりがちですが、実際のところは「引く」という逆の発想が、リスクやトラブルを回避する意味でも重要ではないかと考えています。

一度の手術で理想に近い鼻先にするために

一度の手術で理想に近い鼻先にするために

だいぶ解説が長くなってしまったので、ここでは再度要点だけを絞ってお伝えしたいと思います。鼻中隔延長術の中でも「短鼻」「豚鼻」を改善する目的で施術を行う場合は、このような点を事前に確認するとよいでしょう。

「鼻中隔延長術」の症例数ではなく「短鼻・豚鼻改善」の症例数を確認する

鼻中隔延長術の症例が多くても、その大半が鼻先を高くした症例やアップノーズ寄りの症例であれば、豚鼻改善の参考にはなりません。確認するべきなのは、短鼻・豚鼻に対して鼻先を前・下方へ伸ばす目的の施術を行っているかどうかという点です。複雑になりがちな手技のため、症例数が多い医師・クリニックに相談するほうが安心感につながりやすいでしょう。

事前に症例写真を確認する

目的は同じ短鼻・豚鼻改善であっても、クリニックや医師によって技法には多少の違いがあります。また担当する医師のタイプ(尖り感のある鼻先に仕上げるのが得意・ナチュラルな変化にとどめるのが得意、など)も様々ですので、事前に症例写真を確認することは術後の違和感やトラブルを避けるためにも大切です。

担当医本人から施術イメージやリスクについて話を聞く

クリニックによっては診察医と執刀医が異なることもあるようですが、この点については実際に手術を担当する医師本人から施術の事前説明を受けることをお勧めします。医師によって手術に対する考え方は様々なので、実際に担当する医師がどう考えているのかという点を確認することがポイントです。またその際には、「どこどこの軟骨を使います」「●mm伸ばせます」という話になりがちなので、「なぜその軟骨を使うのか」「●mm伸ばした場合のリスクはないのか」といった部分も確認するとよいでしょう。

「その場」ではなく「長期経過」を前提にした変化を確認する

鼻中隔延長術の仕上がりには個人差があるものの、長期的な曲がりや変形、後戻りなどが生じる可能性もないとは言えません。術後の見た目の変化が理想に近いかどうかという点を確認したくなる気持ちはもちろん分かりますが、手術による変化は「その場限り」ではなく、その後も半永久的に長く残るものとなります。使用する軟骨や術式によって起きうる変化にも多少の違いがあるため、Warping現象や長期変形の可能性についても事前の診察で確認することをお勧めします。

最後に:当院が考える鼻中隔延長術について

最後に:当院が考える鼻中隔延長術について

昨今は尖り感、シャープさのある鼻先が人気ですし、当院でも勿論そのような仕上がりにすることもありますが、当院で行っている鼻中隔延長術(短鼻・豚鼻改善治療)の方針をもし一言でいうなら、「方向・長さ・ライン、そして長期安定性までも含めた鼻先設計術」ということになるかもしれません。

〇当院の鼻中隔延長術(短鼻・豚鼻改善)の方針

  • 鼻先をどの方向へ伸ばすのか(前・下方へのコントロール調整)
  • スープラチップ(Supratip)などを意識した美しい鼻先のデザイン形成
  • 横から見ても違和感がない、鼻スジから鼻先にかけてのライン形成
  • ご希望に合わせた鼻先形成(尖り感or丸みを出す)
  • 長期安定に適した土台選び
  • 無理のない延長距離の設定
  • 状況に応じて手技の変更や追加を行う
  • 「術中確認」による術後のトラブル回避

美容医療に求めるものは患者様によって様々ですし、また担当する医師側においても考え方や価値観は様々です。だからこそ、「ご自身のイメージしている仕上がりやリスクの許容範囲」と「担当医が考えている手術方針」にズレがないかを事前に確認することは、理想の仕上がりに近づけることはもちろん、失敗やトラブルをできるだけ避けるためにも大変重要であると考えています。

よくあるQ&A

よくある質問(FAQ)—鼻中隔延長に関するQA
Q.鼻中隔延長で豚鼻は改善しますか?
A.
改善が期待できるケースは多いですが、どの程度改善できるかは実際の鼻の状態(鼻スジから鼻先にかけての上下長の距離・皮膚の硬さ・鼻先の向き・軟部組織の余裕など)によって異なります。微調整程度の変化をご希望であればダウンタイムがより少ない鼻尖耳介軟骨移植が有効になることもあります。このように個々の状態によって改善可否や適応となる施術は異なるため、当院では診察で実際に確認した上で最適な方法をご提案しています。
Q.後戻りはありますか?
A.
鼻尖耳介軟骨移植は土台となる軟骨が堅固なため後戻りが発生するリスクが少ない点が特徴です。ただし移植する素材の選択や土台の設計、延長方向や延長する距離などによって長期経過の状況は変わってきます。組織に過度な負担が掛からない範囲で変化を加えれば後戻りのリスクも充分に減らすことができますが、もっとシャープな鼻先にしたい・できるだけ鼻先を高くしたいなど鼻先に大きな変化を加えようとした際には、土台部分がその強度に耐えられなくなり、後戻り、もしくは変形といったトラブルにつながる可能性が高くなる傾向にあります。
Q.耳介軟骨と肋軟骨はどう違いますか?
A.
鼻中隔延長術で鼻先に移植する軟骨には耳介軟骨(耳珠軟骨or耳介甲軟骨)や肋軟骨、人工素材などがありますが、一般的に多く使用されているのは耳介軟骨や肋軟骨になります。肋軟骨についてはSNSでお勧めするクリニックが出てきたこともあり、最近は患者様から「肋軟骨を使用したい」というリクエストをいただくことも時々あります。肋軟骨は最も強度が高く大きいサイズの軟骨のため、後戻りのリスクが少ない・大き目の移植片を作ることができる(=鼻先にしっかりと長さを追加できる)というメリットがある反面、Warping現象による変形リスクがある点には注意が必要です。Warping現象とは組織が元の形に戻ろうとする現象で、鼻先に移植をすると術後に形が変わってしまう可能性がないとは言えません。もし肋軟骨を使用される際には、この辺りのリスクもきちんと理解した上でお選びいただくことが重要です。
なお当院では基本的に耳介軟骨の中でも耳珠軟骨を使用した施術を行っています。耳珠軟骨は肋軟骨程ではないものの硬さがしっかりしていること、また耳珠と耳穴の境界部を数ミリ切開する程度で比較的容易に採取できること、さらに耳はダウンタイムが少なく傷の治りが早いといった特徴があります。当院では好んで耳珠軟骨を使用していますが、移植後に患者様から、高さが減少した・後戻りしたといったご相談を頂いたケースは今のところありません。
Q.鼻尖耳介軟骨移植で豚鼻は治せませんか?
A.

鼻先がごく僅かに上を向いている程度であれば、2,3ミリ程度の調整となるため鼻尖耳介軟骨移植で対応できることもあります。ただし皮下組織の状態や皮膚の厚みなどによっては鼻尖耳介軟骨移植だと後戻りする可能性が高いケースもあるなど、あくまでケースバイケースにはなります。ただし鼻の上下長が明らかに短い短鼻・豚鼻については耳介軟骨移植だけで変化を出すのはほぼ不可能となり、このような際には鼻中隔延長で施術を行います。
鼻先の向きを下げることで改善するケースは多いですが、鼻孔のアーチの上縁(フチ)が高い場合などでは、鼻孔縁下降術を組み合わせた方がより自然に整うことがあります。

Q.鼻中隔延長はオープン法で行うのですか?
A.
当院の鼻中隔延長術ではオープン法とクローズ法の2つのパターンを用意しており、患者様の希望にあわせて術式を選択しています。ただし注意点として、アップノーズ形成や鼻先に高さを出す目的でこの施術を行うのであればクローズ法でも対応可能ですが、上向きで短い鼻先(豚鼻・短鼻)に対して長さの追加+向きの調整(前方+下方)を行う際には比較的複雑な処置になることが多く、希望に近い仕上がりに近づけるのであれば、剥離範囲を大きく取りやすく内部調整がしやすいオープン法による施術を推奨しています。一時的に傷跡は生じますが、基本的に鼻柱(鼻の穴と穴の間の柱のような部分)にできるため、下から鼻先をのぞき込んだとしても基本的に目立つことはほぼありません。
鼻中隔延長術は、一度施術を行えば半永久的に効果が得られる施術ですので、長い目で見て後悔しない方法を選択するのがよいのではと考えています。
鼻中隔延長術は多くのクリニックで行われている施術です。ただし、「どこでも取り扱っている施術」だからといって「どこで受けても仕上がりは同じ」という訳ではありません。
特に豚鼻改善を目的としてこの施術を行う場合、前下方向への延長、鼻の穴の見え方調整、鼻柱との位置調整、横顔のラインや鼻先から鼻スジにかけてのラインにおけるプロフィール調整・さらに長期安定性を意識した形で施術を行う必要があります。施術に対する考え方は医師やクリニックによって様々ですので、事前の診察やカウンセリングの際に仕上がりのイメージをきちんと伝えて、担当する医師との間で認識相違やズレがないようにすることが重要です。
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院長・監修者情報

院長 小松磨史(こまつ きよし)

みずほクリニック 院長 小松磨史(こまつ きよし) 美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。免許・資格:日本専門医機構認定 形成外科専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士

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