鼻中隔延長術
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それほど低い鼻先ということではなかったのですが、「もっと尖り感のあるシャープな鼻先にしたい」とご相談に来られた女性です。
「尖り感と高さのあるシャープな鼻先」というと、最近はSNSの影響もあり「肋軟骨移植で鼻中隔延長を行いたい」という方が増えているのですが、鼻先にどの程度の高さを出せるかを左右する本質的な要因は、移植する軟骨の種類(肋軟骨か耳介軟骨か)ではなく患者様が元々お持ちの「鼻先のポテンシャル」に拠るところが大きいです。
①鼻先周囲の皮膚組織のボリューム
②皮膚の柔らかさ
③皮膚の厚み
今回の方については、この3条件が揃っていたため、耳介軟骨(耳珠軟骨)でも十分な延長が可能と判断し、耳珠軟骨移植による鼻中隔延長術をご提案しました。

鼻中隔延長術はオープン法で行っています。オープン法は鼻柱(鼻の穴の間の柱)の根元の皮膚を切開して行う施術法で、鼻中隔軟骨や鼻翼軟骨といった内部構造を広い術野で確認しながら処置を行うことができるため延長方向や高さを精確にコントロールしやすいというメリットがあります。切開線は鼻柱の皮膚の目立ちにくいラインで行うため、術後の傷跡が大きく目立つことはありません。また今回は耳介から採取した軟骨を移植していますが、耳からの軟骨採取は耳の裏または耳穴の中を切開して行うため、耳についても傷跡はほとんど目立ちません。
ただし耳珠軟骨は、単体では薄くて鼻中隔延長に必要な強度がやや不足するため、今回は軟骨を二つ折りにして厚みと強度を持たせた上で、鼻中隔軟骨に継ぎ足すようにして固定しています。

今回の患者様に限らず、最近は「耳の軟骨は肋軟骨より柔らかいので、鼻先に高さを出しきれないのでは?」という点を心配される方も多いのですが、この点については「素材の硬さ」よりも、前述した通り「鼻先のポテンシャル」が結果を大きく左右します。皮膚側に余裕があれば、耳珠軟骨でも5mm以上の延長は十分可能です。実際に今回は約6mm程度を延長距離としており、実際に鼻先の高さ・シャープさともにご希望に近い変化を出すことができています。
術後は2ヶ月半経過した際の様子です。全体でみると「丸くてボンヤリしたドーム型」の鼻先から「トップがはっきりした尖り感のあるピラミッド型」の鼻先に変化しており、どっしりした重たさがない、スマートな鼻先に変化しています。
※スープラティップブレイクとは「鼻先の上(Supra-tip)にある折れ目・区切り(break)」を意味します。横顔や斜めから見たときに、鼻スジから鼻先に移り変わる箇所に生じる「ごくわずかなくぼみ・くびれ」のことで、この部分が多少くびれていると、軽やかで立体的な鼻先に見えやすくなります。
今回の方については、鼻先に高さ・尖り感が出ただけではなく、鼻柱の引き込み(後退)がなくなり、ACR(Alar-Columellar Relationship:小鼻と鼻柱の位置関係)も改善しています。
術前は小鼻のフチ(鼻翼縁)に対して鼻柱が奥に引き込まれており、横から見たときに鼻柱が見えず、ACRが「逆三角形(鼻柱が上+小鼻が下)」に近い状態でした。対して術後は、鼻柱が適度に下方に延長されたため、「小鼻の付け根よりも鼻柱の最下点がわずかに下がる」という理想的なACR(正三角形・下向きの矢印感)に整っています。さらに鼻柱が適度に見えるようになったことで、小鼻の覆いかぶさり感が抜け、洗練されたバランスになっています。
今回の症例のポイントとしては、肋軟骨を使用せずに耳珠軟骨のみで約6mmの延長を行っている点です。
最近は「耳介軟骨がサイズが小さくて強度が高くないので、鼻中隔延長術で使用すると鼻先に高さが出ない」という風潮がありますが、鼻先のポテンシャル次第では今回の方のようにしっかりと高さ・細さを出すことが出来ます。
ただし強度が肋軟骨よりも弱いという点は事実ですので、移植の際には軟骨を二つ折りに加工することで「厚み」と「強度」を持たせています。素材を変えるのではなく「素材の使い方を工夫する」ことで、胸部を切開することなく、ご希望の高さ・細さを出しています。

近年、SNSを中心に「鼻先に高さを出すなら肋軟骨移植の方がよい」という発信が一部で広がっています。肋軟骨は耳介軟骨よりも硬く、変化を大きく出しやすい・強度が高く後戻りしにくいと言われることが背景にあるようです。
確かに肋軟骨は強度が高く、大きなサイズで移植軟骨の切り出しができるため、高さ・細さを出す際に有効な軟骨ではあります。ただ、30年以上に渡り形成外科・美容外科の幅広い手術に携わってきた私としては、「軟骨の種類が結果を左右するわけではない」というのが考えです。
上でも述べた通り、鼻先に高さを出せるかどうかは「移植する軟骨の採取場所」よりも、皮膚のボリューム・柔らかさ・厚みなど「その方の鼻先の状態(ポテンシャル)」によって大きく左右されます。そのため診察の際は、移植した軟骨をしっかりと保持できそうか、後戻りしやすい組織の状態ではないかなどを事前に確認し、必要な場合は移植軟骨を二つ折りにしたり、異なる複数種の移植片を組み合わせるなどで強度を増して移植をすることで、軟骨の採取場所に関係なくしっかりとした高さ・細さのある鼻先を形成することができます。
当院では、患者様の身体的・心理的負担をできるだけ最小限に抑えたいという方針で施術を行っているため、肋軟骨を積極的には勧めていないのですが(もちろん患者様からご希望があった際には対応しております)、肋軟骨移植が良くないと言っている訳ではありません。患者様のほうでダウンタイムや胸元の傷跡、価格などに納得しているのであれば、肋軟骨移植も選択肢のひとつにあってよいでしょう。
最近はネットで調べればいろいろな情報が出ているのでご存じの方も多いとは思いますが、肋軟骨採取に対して私が懸念する点は以下となります。このような点に患者様ご自身が納得をして施術を行うのであれば、それはそれで問題はないと思います。

ワーピング現象について少しだけ補足します。
ワーピング現象とは、移植した軟骨が本来の形状に戻ろうとする内部応力によって、術後時間の経過とともに鼻先が曲がったり反ってしまう現象です。肋軟骨は耳介軟骨よりも内部応力が残りやすく、これによって術後数週間~数ヶ月ほど経過すると鼻先の変形が現れてくることがあります。
ワーピングの発生率については論文や研究によって差がありますが、複数研究を統合したメタ解析では3~7%程度と報告されており、この数字だけを見ると「そこまで高くない」という印象を持たれるかもしれません。
ただ、実際に日々の診療で他院修正の相談を受けていると、体感としてはこの数字より多くの方がワーピングによる鼻先の変形や左右差に悩まれているように感じます。ただし特定のクリニックからのご相談に偏っているという点も、事実としてお伝えておきたいと思います。
ワーピング現象は、手術時のひと手間で発生する確率を軽減することができます。
ただ、こうした工程には相応の手間と時間がかかるため、そこまでの時間を取れないというケースもあるのかもしれません。
尖り感のあるシャープな鼻先に近づけるためにも、鼻中隔延長術を行う際には以下のような点に留意すると良いでしょう。
鼻先に高さを出せるかどうかは、移植素材よりも「鼻先のポテンシャル(皮膚のボリューム・柔らかさ・厚み)」によって大きく左右されます。カウンセリングでは「移植する軟骨の種類」についてご質問される方が多くおられますが、軟骨の種類だけではなく、移植する先となる「鼻先の状態」についても、医師に状態を確認してもらうようにしてください。
肋軟骨は十分な量と強度を確保できる優れた移植材料ですが、ワーピングが生じるリスクがないとは言えません。対策にはいくつかの方法があり、医師によって処置の仕方は異なります。肋軟骨移植を検討している方は、どのような処置や工夫を行うのかという点を事前に担当医(執刀医)に確認しておくとよいでしょう。
担当する医師の「技術力」が結果に影響することはもちろんですが、私はそれと同じくらい、診察や手術前の処置など、一つひとつの工程に丁寧に時間をかけているかという「クリニックの診療方針」も大切だと考えています。
「診察にしっかり時間を取ってくれるか」「移植する軟骨に必要な処置を丁寧に行っているか」など、手術そのものだけでは見えにくい部分についても事前に確認しておくとよいでしょう。
※デメリットについては「ご本人の鼻先の状態」に拠るところが大きいため、適応については事前に医師に確認してもらうようにしてください。
腫れや赤み、内出血などのダウンタイムの長さには体質などで個人差がありますが、ダウンタイムが長くなりやすい行為を避けることで、できるだけ早く通常通りの生活に戻すことが可能です。術後は以下の点に気を付けるようにしてください。
腫れ、内出血、感染、皮膚面の傷跡、左右非対称、血腫などの他、鼻先の施術特有のリスクとして「ワーピング(軟骨の反り)」「後戻り」が生じることがあります。耳介軟骨移植はワーピングのリスクが低い術式ですが、ゼロではありません。
以下のような症状が出た際には、速やかにクリニックに連絡をするようにしてください。
鼻中隔延長術とは、鼻先に移植軟骨を追加して鼻中隔を延長することで、鼻先に高さや長さを出す施術です。同じような施術には鼻尖耳介軟骨移植などがありますが、これらと比較をすると鼻中隔延長術は鼻先に様々な変化を出せる点が特徴で、以下のような調整が可能です。
移植する軟骨には耳から採取した耳介軟骨と、胸部から採取する肋軟骨の2種類がありますが、当院では耳介軟骨移植を使用することが多いです。耳介軟骨は肋軟骨よりも強度が低くなりますが、移植する際に二つ折りにする・複数種のタイプの異なる軟骨片を組み合わせるなどのひと手間を加えることで、ダウンタイムや痛み、術後のトラブルをできるだけ抑えることができます。
肋軟骨がよいか、耳介軟骨がよいかは「鼻先のポテンシャル(皮膚のボリューム・柔らかさ・厚み)」によるところが大きいため、診察では鼻の状態をしっかりと確認させていただきます。

| 所要時間 | 2時間程度 |
|---|---|
| 施術の痛み | 局所麻酔注射による痛み |
| テープ・ギプス固定 | 固定あり(5日間程度) |
| 通院 | 1~3回 |
| 麻酔 | 局所麻酔注射のみ/局所麻酔注射+鎮痛点滴/局所麻酔注射+静脈麻酔/全身麻酔(選択可能) |
| 持続性 | 半永久的効果 |
術後2、3日目が痛み・腫れのピークとなり、その後は1~3週間程度で次第に落ち着いていきます。
内出血が生じた際は2~3週間程度で次第に薄くなっていきます。
耳の採取部の傷跡はほとんど目立ちません。鼻柱の傷跡も時間の経過とともに赤みから白い線状のものに変化し、完全に目立たなくなるのは3~6ヶ月程度のことが多いです。
術後は鼻づまり感や違和感が一時的に生じることがあります。数日~1週間程度で次第に改善します。
当院では鼻整形後のテープ固定は5日間を推奨しています。イメージに近い鼻のラインにするためにも手術と同じくらい重要なプロセスとなります。
術後に腫れ、内出血、傷跡、知覚麻痺、左右非対称などが生じることがあります。ごくまれに感染、ワーピング、組織壊死などの合併症が生じることがあります。
シャワー・洗顔・洗髪は翌日から可能です。
施術部位以外は当日から可能ですが、施術部位は抜糸後から可能となります。
アルコールや辛い物などは血流がよくなるためダウンタイムが長期化する可能性があります。同様に激しい運動やサウナ、長時間の入浴などもダウンタイムを長引かせる要因となるため、術後数週間程度はこれらの行為は控える方がよいでしょう。
| 鼻中隔延長術 | 耳介軟骨移植・オープン法 | 330,000円 |
|---|---|---|
| 耳介軟骨移植・クローズ法 | 220,000円 | |
| 肋軟骨移植・オープン法 | 880,000円 |
Doctor
院長・監修者情報
みずほクリニック 院長 小松磨史(こまつ きよし) 美容外科・美容皮膚科 みずほクリニック院長
札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科入職(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。形成外科・美容形成外科での豊富なオペ実績とあわせ、レーザー治療や注入術へ対する独自理論を追求し、患者様の理想とする姿を目指し的確でスピーディな結果を出すことに意欲を注ぐ。免許・資格:日本専門医機構認定 形成外科専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士